》》》 プロト・タイプ完成 《《《

プロト

2013 2/20

 完成いたしました、当初の目的は十二分に達成いたしました、その音質はかって例が無い程鋭敏です、いままで表現できなかった領域までも克明にさらけ出したしまいます。

 もう、これでボクのフェンダーアンプ群も全く陳腐化してしまい、このアンプを一度経験してしまうと他のアンプは全く使う気になりません、 おそらくこのアンプを凌ぐ物は世界中を探しても存在しないでしょう、 このアンプはパンチングのカバーを付けて、名機誕生のプロト・タイプとして保存する事に致します。





スピーカーはフェンダー、プロソニックのキャビネットを使用します、中身はセレッションのビンテージ30×4です、比較的近代型のスピーカーですが、このアンプの出力は10Wですが大型スピーカーであってもなんなくドライブしてしまいます。

 元々のプロソニックのアンプ (ヘッド)はもう鈍くて使い物になりません、これはプロソニックに限らず、チャンプ、ツインリバーブ65、ツイン等もこのアンプから比べると全く鈍く哀れですらあります。




 成功の要因はやはり新開発のフィードバック回路による所大です、このフィードバック回路のアイデアは以前より持っておりました、今回このプロトタイプで初めて試みたのですが狙いは正に的中です、ただし出力トランスは一般の標準型では不可能で新た開発いたしました、その音質はターボ全開の様な加速感にあり、この質感は従来のアンプでは到底到達出来ない触感です。

 このアンプの詳細は こちら になります。

 このプロト・タイプは記念に保存しておきますが、後2台作ることにしいます、1台はプロトと全く同じ物でコンボ・タイプとし、後1台はEL34を起用したヘッド・タイプです。

2013 5/7  【 Grid トーン 】

 ベースアンプ(KT88 PP 50W) とこのプロトタイプとの聴き比べです。

 その音質は大同小異であり、何ら遜色はありません、
広い場所でパワーを出せば出力の差は現れましょうが、通常の場合ではほぼ同等とみなしてもよろしいでしょう、
出力管が6V6とKT88の微妙な音色の差はあるものの、れっきとした Grid トーンです、
設計思想が同じであれば、同じベクトルの音質となります。
 ただ シングルアンプ(Guitar Player 8S) の音色はプッシュプルとは明らかに異なった響きが加味されます。


》》》 思想、設計、編 《《《


  【 Model EX-A10 】

  型名はEX-A10、
  Experience、A級動作、出力10W、 (小型、コンボ・タイプ)

  音質のベクトルは、ツイード Twin、クラプトン・モデル、
  音質のグレードは、EC Twinolox、を凌ぐ物を目標とします。


    【 Model Guitar Player 50P 】

    型名はGuitar Player 50P、
    AB級動作、出力50W、 (セパレート、ヘッド・タイプ)



【 回路 】


 思考、実験、等を重ね、決定した回路です、
まず、一番に重視したのはクリアー・トーンです、
何の脚色もせず、魅力的なクリアー・トーンが実現出来なくてはなりません。
 エフェクター、オーバー・ドライブ、ディストーション、エコー、を最後に生かすためにはベースのアンプがグレード高くなくてはなりません、Experience、はその様な目的で開発します。

 回路図、その他、図面や特性表はCADやエクセルは使用しません、総てボクの手書きです、イラスト等も考えております。



  回路的には、EX-A10、Guitar Player 50P、同型です、(GP50P 出力菅-EL34、出力トランス、電源トランス、等異なる)

  EX-A10型、6V6、A級PPにて出力10W、 GP50P型、EL34、AB級PPにて出力50W

  従来に無い回路は、トーン・コントロールは独自に開発、Low、Mix、High、とし、特にMixは周波数分布を調整、

  フィード・バック回路は、出力トランスを開発し専用巻線よりフィード・バック、アンプ自身の動作を電流出力とする、
  電流出力の効果は、タッチの明瞭化と音が前に出て来る、反面ノイズと歪が増えるが、その音質は独自の効果絶大。

  2012 9/13

 トーン・コントロールの特性です、Low、High、共に0にすると、フラット(A)です、
共にMaxにし、Mix調整で(B)〜(C)と無段階で調節が可能です。


ワイヤリング、パーツ配置、
それぞれレイヤーに分けて図面化しておきます。



【 シャーシー 】

ベースとなるシャーシーはステンレス製、1.5mm、
金属加工業者に発注済み、内容にふさわしい美しい仕上がりとなる予定。


  2012 9/13

》》》 組み立て編 《《《


 シャーシーが出来上がってきました、

 ステンレス、1.5mm、レーザー加工は美しい仕上がりです。
塗装の必要はありません、加工費は高価ですが十分値打ちがあります。


2012 9/25


ワイヤー配線(レイヤー1)完了

物創り、自分流の手順、前もって実験→思考を重ねた設計→図面上の考慮
さて、次の工程、C/Rパーツ配線(レイヤー2)です。

2012 10/14

》》》 調整、試聴、編 《《《

一応出来上がったEX-10A、測定を済まし試聴を行います。
測定結果は、最大出力は10W、セルフ・バイアスのA級動作ですからこの程度に留まりました。
残留ノイズは1mV前後と大変優秀です、ノイズ成分はハムは全く含まれておらず、熱状乱雑音でハムの様な不快感はありません、電圧増幅段を総て直流点火にしたおかげです、また、アース・ラインに残留リップルが乗らない様考慮してありますから、全くのノー・ノイズであります、ヒーター配線もよじる必要はありません、信号系統の配線にもシールド線は使用しておりません。



出力対歪率


パワー・アンプ部の出力対歪率、及び周波数特性の結果です。
+、−、はフィード・バックを最大プラスマイナスに設定した状態です。

+状態は−状態に比べ、2倍強の歪を発生しております。

これは、当初予定しておりました、設計通りの結果であります。



クリップ手前(8W時)の波形確認です。

歪率、1%と2%の差なんて波形では判別出来ません。


周波数特性、ゲイン

ゲインと周波数特性はフィード・バックによって異なります。
ゲインは0を基準にプラスマイナス3dB強、相対的に6dBの差があります、 周波数特性はプラス設定では狭帯域に、マイナス設定では広帯域となります、マイナス設定時には20KHz〜30KHzにて緩い盛り上がりがあります、これは出力トランスの特性が出てきているもので、NFB(負帰還)の深いオーディオ用途には使えません、問題はプラス設定時で、これ以上のフィード・バック(+3dB)は不安定となります。

 フィード・バックによって最も大きく変わるのは、その音質です。
 フィード・バック量の変化によりアンプの内部抵抗が大きく変わるためです、マイナス側最大に設定いたしますと、内部抵抗は11.8Ωとなり、ダンピング・ファクターは0.68となります。
 では、プラス側ではどうなるか?、実はプラス側最大はON/OFF法では測定出来ません、負荷が開放となると発振してしまいます、発振一歩手前の設定では内部抵抗は60Ω以上という数値で、これは定電流出力状態であります。
 今回、このアンプの狙い目はこの電流出力にあります、オーディオとは全く逆の思想であり、物理的には歪は増大し、レスポンスはスピーカーのインピーダンス変化に追従します、したがってその音質はHi−Fiとは無縁の十分脚色された音質で、野性的で音がグッと前に出てきます。
 発振一歩手前で感度が最高になる、昔の再生式真空管受信機、0−V−1と一脈通じる所があります、っと言っても理解出来る人は少数でしょう、理論的には再生検波と良く似た手法であります。


音色に不満

さて、フィード・バックは予想通りの好結果となりましたが、総ての面で満足とはまいりません、全体を司る音色が気に入りません、スピーカーを色々変えてみましたが総じて同じ傾向です、その音色とは響きが浅いのです、フェンダーのアンプ郡の中ではチャンプ(改造)を凌ぐ事は出来ませんでした、ただ、このチャンプ(改造)は相当なグレードで鳴っております。

 前作のGC−10(EL34シングル)が非常に好結果だっただけに残念です、何せ目的が「世界の最高峰を目指す」と期待が大きかっただけに失望度も大きいのです。
GC−15はチャンプ(改造)と比べても決して劣る要素はありません。

 ここで、前作のGC−10と比べて見る事にいたしましょう、


歪の性質


GC−10の歪は基本的に第2高調波(基本波に同調)です、これはシングル・アンプの特徴であり、歪率は大きいのですが、耳に心地よく聞こえます、一方EX−A10はプッシュ・プルですから第2高調波は打ち消され、結果歪率はシングルに比べ低くなります、通常プッシュ・プルはクロス・オーバー歪が発生するのですが、A級動作にする事により回避しております、EX−A10ではクリップまでクロス・オーバー歪は発生しておりません。
 両アンプの歪率を見る限り、シングル・アンプの歪は、比較的多いにも関わらず聴感上は好結果であります、後シングル・アンプは位相反転回路等が不要のため、回路がシンプルとなり音の鮮度劣化がありません。
2012 10/20


音色改善

パワー・アンプ部はそのままで、プリ・アンプ部の動作設定、及び回路のを一部改造いたしました、
まず、ボリュームをパワー・アンプの入力部にマスター・ボリュームを設置いたしました、それに伴い初段及び2段目の動作設定を変更、2つのボリューム設定でクリーンからオーバー・ドライブ・ディストーションまでの設定が可能です。
電圧増幅である真空管は12AY7/6072を採用、ゲインは1段あたり約+30dB、2段直列ですから+60dBになります。


 プリ・アンプ部の動作(ボリューム全開)です、
入出力特性と歪率特性です、入出力は入力30mV、出力18Vでクリップが開始します、このポイント以前がクリーンで、それ以降がオーバー・ドライブ・ディストーション領域です。

 入出力は正常な動作の場合は比例関係にあり点線の様に直線になります、出力18Vより入力を増しても出力は増大いたしません、このポイントがクリップ点であります、出力電圧が30Vまで増大するのはクリップは開始しておりますが、カット・オフ領域が未だ飽和しておりません。

 このクリップとカット・オフの関係はディストーションの波形モードを形成されます、したがって音色と密接な関係があります、具体的な音色調整は2段目のバイアス調整で行います。

 出力18V以前はクリーン領域ですが、クリップ寸前ですから第2高調波を含んだ波形であります、チャンプやGC−10同様、倍音を十分含んだ厚くてエッジの効いた音色であります。


 上部がクリップで飽和しております、下部がカット・オフです。

 このクリップの時間軸(横方向)を長くすると厚くて太い響きとなり、カット・オフの鋭さがキレの良さとなって聴こえます。
 このオーバー・ドライブ・ディストーションは、半導体(オペ・アンプを含む)のエフェクターの様に、ダイオードによる定量的なディストーションとは異なり、微妙な響きの調整が可能なのが特徴です。
2012 11/3

トーン・コントロール



プリ・アンプ部がハイ・ゲインのオーバー・ドライブ・ディストーションが可能となったため、トーン・コントロール部も最適な物に変更いたしました、ギターアンプのトーン・コントロールはCR減衰型が通例です、基本的にAE(Audio Engineering 誌、1949発表)型で、ブースト専用となっております、中心周波数は800Hz近辺でオーディオ・アンプより低めに設定、ギターアンプでは2〜3kHzはすでに高音の領域です、低域は+20dB以上、高域は+18dB、となっております。
 トーン・コントロールの素子はこれで良いのですが、この特性をそのままアンプの特性とすると具合が悪いのです、超低域はスピーカーにとって過酷な信号です。  対策はアンプ部にHPFを設定しておきます、C102と100kΩのボリューム、C104とトーン・コントロール素子、この部分にカット・オフ80Hzのフィルターとなっております、一つのフィルターが80Hz、−3dB、oct−6dBが2段形成されておりますから、80Hz、−6dB、oct−12dBのフィルターとなります。
 このフィルターによって低音が出なくなる様な事はありません、むしろモヤモヤした超低音かぶりが排除され、低音の輪郭がハッキリし、音が遠くまで届きます、また低音をブーストしても超低域は上昇いたしません、結果驚く程のパワーが入ります、パワーを入れても入れても音量として消化してしまう爽快感があります、歪波形を含んだ超低域はスピーカーにとってはボイス・コイルを焼いてしまう一番の原因です。


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