☆ギターアンプの歴史☆

ギターアンプの歴史

現在のギター・アンプのパフォーマンスは付属品のエフェクター等を含めると、非常に多岐な表現方法が可能となりました、極端な発言をすれば、ギター本体も重要なのは勿論ですが、アンプの重要性は決しておろそかには出来ません、むしろアンプの選定、使いこなしはミュージシャンにとって、切実な問題である事に異論は無いでしょう、そこで今回はギターアンプの歴史とその変貌について解説いたします。

ピックアップ

最初期のギターアンプ

1930年以前、ハワイのオワフ島のハワイアン・バンド達が使用したのがその発端です、ハワイアンのスチール・ギターは通常のアコーステック・ギターの様に共鳴箱が無いため、音量が小さくソロで弾く分には問題がありませんが、バンドとして演奏には、他の楽器と比較した場合、圧倒的に音量が小さくバランスが取れなかったのです、そこで電気的に増幅する仕組みを考案したのが、リッケン・バッカー社です。
 スチール弦の振動を電気信号に変換する仕組みは、弦の下に磁石を設け、その磁石にコイルを巻いたピックアップを考案したのです、要するにスチール弦の振動は磁石に伝達され、磁石が振動すると回りに巻かれたコイルが発電されると言う構造です、この方式は後にムービング・マグネット方式と呼ばれ、これとは逆にマイクロフォンの様に磁界の中でコイルが振動し、発電する仕組みをムービング・コイルと呼ばれる様になりました、この方式は現在に至っても全く変わっておりません。

1934年頃には、スチール・ギターのアンプ増幅で大きな音を出すのは常識化され、カントリー&ウェスタンの分野でも多用される様になってまいりました、テネシー・ワルツを作曲したボブ・ウィルスとピーウィー・キングがスチール・ギターをアンプを使用し演奏をしております。

ピックアップ

この頃、ジャズの世界ではビッグ・バンドが台頭してきます、デューク・エリントン楽団、カウント・ベイシー楽団、等が有名ですが、ビッグ・バンドでのギターの存在は他の楽器と比較して、あまりにも音量が小さい、よってスチール・ギター同様、アコースッテック・ギター にピックアップを着けアンプを使用し始めました。

チャーリー・クリスチャンは、初期のモダン・ジャズで活躍したギタリストで、スイングの王様、ベニー・グッドマンのコンボで、数々の吹き込みを行っております、彼は電気ギターの先駆者で偉大な足跡を残しております、この頃からミュージシャンの間で、ギブソンのアンプが使われる様になりました。

電気ギターの歴史を語る上で、どうしても外せないのが黒人特有のブルースマンです、彼らは当時ビッグ・バンドのミュージシャン程世間に認識されておらず、今からは想像も出来ない劣悪な環境で、音楽活動を行っておりました。
 正式なギター・アンプなどは使用出来ず、恐らく当時のラジオを応用していたものと思われます、出力が1ワットや2ワットのラジオにギターを繋ぐと、その音は完全に入力過大で歪んでしまいます、マディ・ウオーター(ジミ・ヘンドリクスに影響を与えた)等の古い録音(SP復刻盤)等を聴くと、エフェクター等は存在しない時代に上手に歪んだ音を出しております、エフェクターのルーツはこの辺にあるかも知れません、尚、この説は私の推論であり、何処の文献にも確たる証拠はありません。

1941年には第二次世界大戦が始まり、電気ギターもポピュラー界に登場し、ロックン・ロールの時代に移ります、1955年にはチャック・ベリー、ビル・ヘイリーが、翌年にはエルビス・プレスリーのハート・ブレイク・ホテルが大ヒットし、唄のバックや間奏に盛んに使われるのですが、ジーン・ビンセントがキャピトルに吹き込んだブルー・キャッスルがソリッド・ギターの始め頃では無いかと思われます。
以降、1960年代ビートルズやベンチャーズが、やがてクリームのエリック・クラプトン、 ジミ・ヘンドリクス、が登場、電気ギターとそのアンプは独自の存在を示す様になり、現在に至っております。

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