コンピューターは知能を持てるか?


自我に目覚めたコンピューター

「アメリカ、軍需用コンピューター、スカイ・ネットは自我に目覚めた」、これは映画、【ターミネーター】の一説です、コンピューターと人類の戦いをSF的に画いた娯楽映画であります、この映画を科学的な見地から見ますと、大きな仮説が2点あります、第一点は未来から現在にタイム・マシンで転送される事です、時間を題材にしたストーリーは面白い反面、どうしても無理が生じてまいります、物理的にはアインシュタインの相対性理論(光速が基準で、空間、時間、は絶対的では無い)から、現在から未来へのタイム・トラベルは可能でも、未来から過去へのタイム・トラベルは不可能とされているからです。

 未来へのタイム・トラベルは光速度に近いスピードで移動するか、もしくは極めて重力の大きな近傍に居ると、相対的に時間の進み具合が遅くなるからです、例えば光速度に近いスピードの出るロケットに乗って宇宙を一年ていど散歩をし、地球に帰ってくると、地球では十年ほど経過していた、というものです、結果的に九年未来へ旅行した事となります、この現象は我々の日常生活の中でも実際に起こっております、光速度とまでは行かなくともジェット機で旅行をすると、極少量ですが時間の流れは相対的に遅くなります、それが極めて極少量であるから大きな問題にならないだけです。
 したがって、物理的に未来へのタイム・トラベルは可能なのです、よって未来の地球へ行く【猿の惑星】はありうるのですが、【ターミネーター】はありえない事です。

 第二点は、コンピューターが意識を持つ事です、古典SF映画の名作【2001年宇宙の旅】でも、コンピューター【HAL】が意識を持っております。
 これは現在の段階では完全に否定は出来ません、ただ現在のコンピューターの方式(ノイマン式)では無理です、例えクロックが如何に高速になり、広大なメモリーを所有しようとも不可能と言えるでしょう、世界最速の【京】が束になっても不可能です。

 ここで人間の脳の働きと現在のコンピューターの動きを比較してみましょう、コンピューターはプログラムによって、極めて大量のデーターの処理が可能です、解りやすい例として金融機関のATM機があります、ATM機を人間に置き換える事は不可能に近い事です、仮に出来たとしても膨大な時間が必要です、また人間独特のミスや勘違いも起こりうるでしょう、ではコンピューターの内部ではどの様に働いているのでしょうか?、それはデーター・ベースに総当りで照合しているのです、解りやすく言うと綺麗に整列された膨大な資料を一から順に照合する、という行為が行われております。
 一方人間の脳は無秩序な記憶の中から最短で目的に到達出来ます、例を挙げれば「一番美味しいラーメンは」というのは、余分な思考(条件分岐)を総てパスして直接その目的に到達できるのです、これは現在のコンピューターでは到底不可能です。

 人間の記憶はおもちゃ箱の様なもので、箱の中に乱雑に入ったおもちゃを子供は目的の物を瞬時に選択できます、一方コンピューターは総当りですから、一つずつ照合しなくてはなりません。
 コンピューターは小型の電卓から大型の高性能機でも原理的には同じです、ここには知能が発生する余地は皆無といってもいいでしょう、ただ、プログラムによっては知能が存在する様な動作を行う事は可能ですが、所詮シングル・タスクのプログラム実行に他なりません。
 では、コンピューターが知能を持つためには何が必要か?、それは人間の脳に近い動きをするコンピューターでなければなりません、少なくとも従来のノイマン式やCPUの概念を捨てなければ不可能です、無数のタスクが並行処理を行い、かつデーターを共有する物が必要です、またシナプスの様に環境に応じて自主増殖を促す事も必要でしょう、実はまだ実用になっておりませんが、その様なコンピューターの開発が進んでおります、それは量子力学(実は量子力学は大の苦手です)を応用した量子コンピューターです。
もし量子コンピューターが実現出来たなら、知能を持つ事もありうる!、と思います、もし知能を持ったならば人間は猿以下の存在になるでしょう。

量子力学はビッグバンのインフレーションが現実にあったなら、多次元宇宙の可能性を予言しております、ただし、その存在は物理計測する術はありません、我々の住んでいる宇宙以外の世界が無限に存在するとは、想像も着きません、しかし、考えるだけでも奇々怪々であり、興味は尽きません。

参考文献:【機械じかけの脳をつくる】 スコット・ラッド著 1989 6/22 第1刷発行
      人口知能の流れ、心の正体、並列処理、ニューロチップ、近未来のオートマトン、

余談
そんな余計な事を考えるより、今月の支払いが・・・嗚呼、

教訓 : アインシュタイン曰く、「神はサイコロをふらない」、「月は見なくとも存在する」、
      (ボーアに対する量子力学への反論ですが、この世は偶然の集合体とは・・・?)


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