2013 2/3 オークションにて、へフナー500/1を落札いたしました。
難アリの代物です、内容はガリありで音が出たりでなかったり、したがって現状ジャンクで出品でした、ただしネックの反りは無し、外見は写真で見る限り美しい状態です、ボクにとっては願ってもない代物です、電気系のトラブルは全く問題ございません、仮にピックアップのコイルが断線していようとも、完全に復旧する自信があったからです。
ピックアップはバーブレード(シャークフィン)ハイパワー、シングルコイル・ピックアップ、紛れもなく西ドイツ製です、ロットナンバーは[260657]、へフナー中期の代物です、ただし世評では黒いノブは人気がありませんがボクは全く気にしません、最終30分前より入札いたしました、案の定3人での競り合いとなりました、やはり狙っていた人が居ました、これで落札してくれと願っていると、ああ〜入った、また10分延長です、やっとの思いで落札いたしました、価格は申しません、何せジャンク扱いですから。
数日して届きました、思っていた以上に上物です、適度な古さが丁度いいです、ロットナンバーが[40000]番代なら現行の物と大きく変わらないでしょう、かと言ってキャバーン、クラスのあまり古い物ならオリジナリティと言う点では貴重でしょうが、一歩間違うと実用になる以前に純然たる骨董品となってしまうかも知れません、昔のへフナーの精神を残しながら実用楽器として十分使用に耐える、っという意味でボクの希望にはピッタリであります。
2013 2/5
さて問題の、「難あり、ガリあり、音が出たり出なかったりする」の調査です、
早速ボリューム&スライドスイッチの付いたパネルを開いてみました、
ヘフナーと言えども雑な配線と安価なパーツを採用しております。
回路は当然の事ながら単純です、各ピックアップのボリュームとハイカットのコンデンサー、SOLO/RHYTHMでアッテネートする分圧抵抗のみです、一応測定器でチェックしたところ、ピップアップは全く問題ございません、原因はボリュームの接触不良のみでした。
コントロール・パネルは年代によって若干の相違があるようですが、加藤氏の1984〜1985年 Hofner 500/1 BEATLES BASS VINTAGE MODEL
8台目のヘフナーと、回路及び使用部品とも酷似しているようです。
2013 2/8
ヘフナーの部品を検索していると色々出て来ました、インターネットとはまことに便利なものです。
じつはボクの友人のギタリストが、「出来る事ならオリジナルのままでおいておく様に」と懇願するのです、彼はこのヘフナーが余程気に入った様で、「買った値段だったら何時でも売ってくれ」と言うのです、そこで彼の意見を尊重し国産のボリュームへの交換は止めて、オリジナル、ボリュームを採用する事といたします。
2013 2/12
コントロール・パネルの配線
(←)実態配線図です
裏面から見た状態。
これを電気的に書き直した配線図です。
これは、現状状態では配線ミスがあります、
このままでは、SOLO/RHYTHMの切り替えをしても、RHYTHM時には正常のレベルダウンが行えません、要するに抵抗分圧のアッテネ−タ−にはなりません。
不思議に思いネット上調べた結果、正常に配線された機種もある様ですが、ミス配線も結構存在している様です、修正は簡単でR2の配線を一箇所変えるだけです。
この回路の特徴はピックアップの負荷抵抗がボリュームのポジションで変化することです、何故この様な回路を採用したかは不明です、しかし、他の機種でもこの様に配線されておりますから、これがヘフナー流なのでしょう。
更に解り易く書き直した配線図です
(抵抗アッテネーターは正常に書き直してある)
この状態はBASS=OFF TREBLE=OFF SOLO に設定された状態です。
この回路はまことに奇妙な回路です、そもそもスライドスイッチの表記が[BASS/ON] [TREBLE/ON]となっているからややこしいのです、解釈としては各ピックアップのON/OFFスイッチと考えた方が解り易いと思います、しかし、ハイカットのCが存在するためにこの様な表記になったものと思われます。
[BASS/ON]=ピックアップ(ガット)/OFF
[TREBLE/ON]=ピックアップ(ネック)/OFF
[TREBLE] [BASS]の各スイッチは表記OFFの状態で回路自体はONとなり、表記ONにすると回路はOFFとなり、通常とは逆になっております。
[TREBLE]をONにするとピックアップ(ネック)がOFFとなります、TREBLEをブーストする要素はありません、ただ単にピックアップ(ネック)を切り離すだけです。
[BASS]をONにするとピックアップ(ガット)がOFFとなると同時にハイカット・コンデンサーが接続され、相対的にBASSブーストとなります、したがって、このハイカット・コンデンサーはピックアップ(ネック)のみに有効です。
[TREBLE]はピックアップ(ネック)のON/OFF、[BASS]はピックアップ(ガット)のON/OFFのスイッチであります、ただし表記は反対。
[TREBLE]ON(ピックアップ(ネック)OFF)の場合、TREBLEブーストが無いのは不思議です、ただ、ヘフナーは年代によって幾分異なるため、以前はスライド・スイッチの空回路を利用してピックアップ(ガット)にバイパス・コンデンサーを設けていたかも知れません。
[SOLO/RHYTHM]はアッテネーターです、SOLOはスルーでRHYTHMは抵抗で分圧されます、ただし1/2減衰にはなりません。
定数 R1=68KΩ R2=180KΩ C=22n(22000PF 0.022μF 表記が異なるだけで同じ) ボリューム=250KΩ(A)
なお、ピックアップ(ネック)のみを使用して、ハイカット・コンデンサーを使用しない場合は両スイッチをOFF(両ピックアップON)にしておいて、ピックアップ(ガット)のボリュームを絞っておけば可能です。
【 ポール・マッカートニーの場合 】
(←)のポジションですからピックアップ(ネック)のみを使用し、ハイカット・コンデンサーを有効にしております、そういえばビートルズの曲でベースがビンビン鳴るのは聞いた事がありません。
ヘフナーの修理が完了いたしました、次はこのヘフナーをベストの状態で鳴らすにはギターアンプではやや役不足です、ギターにしろベースにしろ、
音質が占めるウエイトは楽器20〜30%、アンプ70〜80%、と思っております、
どんな素晴らしい楽器も最後はアンプの音を聴く事になります。
まず、ヘフナーと言えばビートルズ、ビートルズと言えばアンプはVOXです、したがってVOXのアンプの検証を外す訳にはまいりません、アメリカ製品であればフェンダーが有名ですがヨーロッパのVOX製アンプとは如何なる物でしょうか?。
代表的なアンプに
AC30
AC50
AC100
があります、総じてフェンダー系のアンプと比較しますとクリーン・トーンに重点が置かれております、VOXのアンプ群に比較してマーシャルのアンプは、その出発点が同一のためずっとフェンダー寄りであると思います、ただフェンダーのアンプの中でも例外的にクリーン・トーンを重視したアンプが
ツイード・ツイン[ 5d8 ]
であります、このアンプはエリック・クラプトンがこよなく愛したアンプで、現在はECモデルとして再販されております、このアンプだけはゲイン配分など骨格はVOXのアンプと一脈通じるものがあります。
VOXのアンプ群の中でも古いビンテージ的なAC4
AC10
V15
があった事を忘れてはなりません、この時代のアンプは現在のマッチレスのアンプに大きな影響を与えております、もし再現するならばスピーカーの選定は重要でやはり
セレッション、アルニコ・モデルの
ビンテージ・ブルー
は不可欠です。
実を言えばボクは元々Bass Manなんです、
←これは47年前でございます。
ベースはテスコ NB4、ドリフターズのいかりや長介も使用。
かってのリードギターの彼は県外でブルースバンド(ハープ担当)で活躍、 帰郷したならば、「またやろう」と言っております。
今年の夏、イベントで急遽ベース担当に抜擢されました、それでヘフナーを入手したのですが、如何せん指が全く動きません、フレーズ以前にまともに音が出ません、やれやれどうなる事やら?。
しかし、イベントは待ってくれません、夏までにはベース・アンプを完成させ、皆様の前でご披露しなければなりません、腕が伴わない場合は、上にぎりとお銚子を付けて 「何とか聴いてね」 というハメになるかも知れません、爺と言えども孤軍奮闘。 2013 2/16
(色々なベースは
こちら
を参照)
ミニチュアモデル
フジタ氏
制作による
超精密加工
2013 6/3