☆ フェンダー、チャンプから最高の音を引き出す ☆

[ アッテネーター ]+[ トーン・コントロール ]+[ 63リバーブ ]


アッテネーターの必要性

 57チャンプ、このアンプは小型、小出力(5W)でありながら、その音色には定評のある所です、ただし音量はMAXに近い地点でなければなりません、軽くかかったオーバー・ドライブの歪は心地良いものです、この音質のままで音量を自在に調節するには、アンプとスピーカーの間に電力型(抵抗では音質が著しく低下)のアッテネーターが必要です。

 市販にアッテネーターは存在しますが、電気知識のある者にとっては不満が残ります、したがってグレードの高いアッテネーターを自作いたしました。
 トランス式アッテネーターは、オーディオ用である平田電気製作所(タンゴ)Model AT-300、の大型の物です、減衰率は1ステップ-1dB、20ステップ-20dBまでの減衰が可能です。


 大型オリエント・コアーHi-Bを用いた物で、ギター・アンプの周波数帯域(低い周波数で通過電力(W)が決まる)では50W程度はカバー出来ます。

 ツイン・リバーブ(85W)、プロ・ソニック(60W)、に使用しても音質劣化は無く、パワー的にも全く問題ございません。

 減衰切り替えのロータリー・スイッチには、大きな電力(W)が通過しますので、接触抵抗の大きい安物は使用出来ません、測定器類に使用されている岩崎通信の通信機用を採用しました。


 このアッテネーターは57チャンプ専用では無く、他のアンプにも使用しますので、木製のケースに収め、持ち運びに便利な様に上部にキャリング・ハンドルを取り付けました。

 部品代だけでも相当高価な物となってしまいましたが、最上級の電力型アッテネーターを製作する事が出来ました。



トーン・コントロールの必要性

 チャンプの特徴は、シングル・アンプの持ち味である、軽快で素直な音色が特筆に値します、その反面スピーカーの口径が8インチと小型のため、全体のエネルギーが中高音に集中してしまいます。

 ここは音色のエネルギーを自在に調整出来るトーン・コントロールがどうしても欲しくなります、したがってチャンプの性格に最も合ったトーン・コントロールを装備いたしました。

 このトーン・コントロールは従来のフェンダー型(はしご型)とは異なり、ボクが開発したもので、低音、高音、の調節以外にエネルギーの分布を自在に調整出来るものです。 

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フェンダー型トーン・コントロールの特性


 これがフェンダー型の特性です、(A)はLow、Hi、共に0でフラットです、Lowのみを上げたのが(B)で低音が約+10dB程上昇します、次にHiのみを上げると(C)の様に高音が上昇すると同時に低音が下降します、Low、Hi、両方上げると(D)の様になります、高音は十分に上昇しますが低音は思った程上昇いたしません。
 このフェンダー型は、ツイン・リバーブの様に口径の大きなスピーカーが複数装備しているタイプには有利です、また音を遠くに飛ばすには適した性質を持っております、しかし、チャンプの様なアンプには不向きな性質を持っております。

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Grid型、トーン・コントロールの特性 (自主開発)


 ボクが開発したトーン・コントロールの特性です、低音、高音、を個別に上昇できるのは標準ですが、Mixの調整により、その分布を調整出来ます、(A)はLow、Hi、共に0でフラットです、両方を上昇した状態で、Mixを調整すると(B)〜(C)まで連続可変出来ます。
 このコントロールは大変魅力的で、フルアコを用いたJazzギターは低音を重視した(B)カーブに、テレキャス等のギンギンのRockには高音を重視した(C)カーブが合う様です、 チャンプのために開発した回路ですが、他のアンプにも応用が利く様で、これから開発するアンプに全面的に採用して行く予定です。
 このトーン・コントロールをGrid型と名付けました。



リバーブの最高峰、63リバーブ

 フェンダーのリバーブ・ユニット、63リバーブです、この63リバーブの音質には全く脱帽です、アンプ組み込みのリバーブの音質と全く異なります、例えばツイン・リバーブ内臓のリバーブ等はこの63リバーブの足元にも及びません、Bossがこの63リバーブを手本にしてエフェクターを製作したのもうなずけます、チャンプ改造記の最後はこの63リバーブを追加して仕上げといたします。




チャンプが奏でる新玉の音質

 現在最も使用頻度が高い組み合わせです。

 音楽の守備範囲は広く、ソフトからハードまで、そして、その音質はチャンプが奏でる新玉の音質と言えるでしょう。

 ここまで来るに、相当の時間と労力と費用がかかってしまいました、しかし、いい経験ができました、この経験はこれから開発するアンプに役立つと思います。

 当初の目的であった「フェンダー、チャンプから最高の音を引き出す」は達成されたと思われます。





2011 Autumn


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